行って自分の眼で確かめてごらん 聖オルバン教会 吉松さち子 行って自分の眼で確かめてごらん イエス様がお生まれになったベツレヘムの街 かつてあんなに巡礼者でごった返していたあの街が ここ2,3年は観光客も途絶えたという 金を掘りつくして人々が去っていった ゴースト・タウンのような街で 「あなた方が一月ぶりのお客様」と喜ぶ老店主 棚に置き去りになった聖母子像には埃が一杯 行って自分の耳で確かめてごらん マリア様が受胎告知を受けたナザレの街に かつてあんなに巡礼者で賑わっていたあの丘の街に 「今は通行許可書が必要で、それがないとイスラエル軍の 関所は通れないのよ。そんなに遠くない所に住んでいる 娘や孫に会いたいが、それもままならないの」 と涙ながらに嘆き訴える老婦人の声を 行って自分の肌で感じてごらん イエス様もこの岸辺に立ったというガリラヤの湖畔に 2000年前と同じように風は肌を撫ぜ 湖畔の水は細波を立てている 道端にはアネモネが赤く 限りなく青い空に向かって咲き乱れているのに 「この聖地にクリスチャンが2%しかいなくなってしまったの」という 人々は傷つき、嘆き、そして将来を不安に思い、去ってしまった カナダへ、ドイツへと 残されて行き場のない人々は 壁の囲いの中に閉じ込められて 檻に入れられた家畜のように 自由に外出することも出来ない 乳と蜜の流れる”国で いまも無用な鮮血がながされている 昨日もガザではイスラエル軍の攻撃を受け 数十人のパレスチナ人が亡くなった 世界中の和平への期待をよそに 歴史の歯車を逆転させたのは、誰か。 アメリカの詩人ロバート・フロストの “塀直し“ (Mending Wall) という詩の中で “隣人”は”よき塀あってのよき隣人“と繰り返す そして、詩人は彼に聞く、 “塀をつくるのなら、何を締め出し、何を囲い込もうというのか” 突き抜けるような高い空に グンと伸びたむきだしのコンクリートの壁が パレスチナ人の人として自由に生きる権利を 奪い去ってしまった さあ、今度はあなたたちですよ 行って自分の眼で、耳で、肌で確かめてください そして、共に行動を起こしましょう! パレスチナ人の人としての尊厳を守るために |