教区主教 イースターメッセージ
(教区時報掲載のもの)
復活のミステリー イエスの誕生、そしてご生涯、十字架上の死、そして復活は、ミステリーに満ち満ちています。「ミステリー」と私が呼ぶのは、そんなに高尚な、宗教的な意味ではありません。ミステリー小説のミステリーです。つまり、イエスの生きた時代と現代とが余り隔ってしまったので、事実関係を再構成するのは容易なことではないからです。そして聖書は、その事実関係を解き明かすのに、格好の資料のように思えますが、必ずしも「事実関係」を残すために書かれたわけではないので、ミステリーを拡大することにもなります。 私は、生涯、このミステリーを追いかけたいと思います。同時に、ミステリーが解けないと信じることができないというわけでは全くありません。 パウロ―彼も余り事実関係については知りませんでしたが―「キリストが復活しなかったら、あなたがたの信仰も無駄です。」と明言しています。復活の証人となったパウロを含む使徒達に与えられた、圧倒的な神の力と恵みを、私たちも与えられています。私が妻を愛し、妻から力を与えられるのは、私と妻の出会いの「事実関係」が明らかにされないと起らない、というわけではありません。 そういうものこそ、事実関係を越えた、深い深いミステリーでしょう。 |