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教区主教 聖霊降臨日

(教区時報掲載のもの)

聖霊とバリアフリー


 この頃マンションや住宅のチラシ広告に、『全室バリアフリー』などという、うたい文句があります。どの部屋に行くにも、トイレも台所も、段差がなく造られていて、足腰の弱くなった人でも、つまずかないで移動できますョ、ということでしょう。駅や公共の建物がバリアフリーだというのは、車いすでも苦労が無いですョという意味です。

「バリアー」とは、障碍物のことで邪魔するものという意味で、バリケードという言葉と同じ語根です。「フリー」は、もちろん自由のことで、バリアフリーは、障碍物から解放されている状態を指しています。

使徒言行録で著者ルカが伝える聖霊降臨の出来事に、集まっていた人々が、口々に色んな国や民族の言語をしゃべり出した、というエピソードをつけ加えています。ユダヤ人であったイエスの死と復活のメッセージを、どうしてもユダヤ民族・ユダヤ人文化・ユダヤ人の宗教を越えて、伝えたかったルカは、このエピソードで、言語・文化・宗教の障碍を越える、聖霊の力を示したかったのでしょう。今も昔も、言語・文化・宗教は人間が共に生きてゆく上で大きな障碍となります。それに加えて、階級や性別や年令、教育・収入なども障碍となります。

しかし、聖霊の力は、これらすべてを打ち破ります。全ての人間の間の、また社会の関係をバリアフリーにする力です。事実、初代の使徒たちはその力を発揮しました。教会とそこに連なる私たちも、その力をいただいているはずです。あとは、それを発揮することだと思います。社会と世界をバリアフリーに!

(東京教区主教)

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