NSKK 日本聖公会 東京教区
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8月15日に為すべきこと

主教 植田仁太郎

 「過去に目を閉ざす者は、結局のところ、現在にも目を閉ざすことにもなります。非人間的な行為を心に刻もうとしない者は、またそうした危険に陥りやすいのです。」(R・フォン・ヴァイツゼッカー)
 これは、1984年から94年までドイツの大統領を務めたヴァイツゼッカーが、ドイツの敗戦40周年を記念して、連邦議会で行った演説の一部です(1985年)。ドイツの戦争加害者としての反省とこれからの在り方を示す、深くまた見識のある演説として、各国語に訳され、ドイツ国内では何度も印刷・配布された有名なものです。そして、述べられていることは、敗戦60年目の今日も、この日本においても依然として真実を衝いています。多くの日本人にとっては、戦争の被害者(空襲の犠牲者、兵士の遺族、戦後の飢餓)の体験が鮮烈ですが、その反対側で、日本人以外に対しては、私たちは明らかに加害者であることを、どうしても認めなければならないでしょう。
 私たちの体験した戦争の不条理とともに、加害者として行ってしまった非人間的行為(戦闘行為ばかりでなく、植民地化、強制連行、従軍慰安婦の強制など)を「心に刻ま」なければなりません。個人としての「私」の行為ではないですが、国家の名において為されたその国家に連なるものとして、その行為を心に刻んでおくことが大切でしょう。
 教会の教える「悔改め」の第一歩は、為してしまったことを、「心に刻む」ことです。

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