主教 植田仁太郎
各地の桜の開花や満開のニュースで春の到来を実感しているうちに、アッという間に、木々の若葉が芽吹いて、日に日に輝きを増してゆきます。自然が一斉に、いのちとその力の輝きを見せるこの季節に、やはり、教会もいのちと力を祝い憶えるお祭を迎えます。 ひとつは復活祭で、言うまでもなく、イエス・キリストの死からの復活を祝います。「祝う」という表現は不充分かも知れません。イエス・キリストの死からの復活が起こり、体験されなかったら、そもそも教会もキリスト教も生まれなかったでしょう。その復活を「祝う」どころか、その日には、その重大さを深く深く心に刻みました。(今年の復活祭は4月16日でした。)いのちは死の前に無力とされています。いのちは死をもって終る、というのが人間の常識です。復活の出来事はその常識を覆し、歴史上ただ一回、いのちが死を乗り越えたということが起りました。宇宙的時間の流れの中で、将来、神の支配し給ういのちのうちに、同じことが人間に起るだろうと聖書は伝えています。 6月4日は「聖霊降臨日」と呼ばれる、教会にとって、もうひとつの大切なお祭りの日です。聖書に記された、弟子たちに不思議な力が天から与えられた出来事を記念する日です。イエスの死と復活に続いて、それを信じた人々に、神からの信じられないような力が与えられたということです。 春に植物が輝きをとり戻し、その生命力の偉大さを発揮するように、人間が、神からの力をいただくとき、信じられないような働きをすることは、私たちみんなが知っています。