主教 植田仁太郎
毎年秋分の日の祝日の頃に、東京教区の諸教会の信徒が集まって、礼拝を一緒にし、教会やグループがお店を出し合って、楽しい一日を過ごします。教区フェスティバルと呼んでいます。 「開く・信じる・食べる」は、今年のフェスティバルに掲げられたテーマです。「開く」は心を開く、とびらを開くなど、私たちが内にこもらず、自分たちのことだけを考えず、私たちの生き方も教会の在り方も、外に開かれた状態を心がけましょうということでしょう。「信じる」は、そういう心をもって、みんなで、共同体として信仰を持ちましょう、ということでしょう。 さて、「食べる」は何を呼びかけているのでしょうか。実は、教会を中心にした生活、神さまと共に生きようとする生活と、「食べる」ことは大変密接な関係があります。神さまと共に日常を生きるということは、必ずしも、祈りや瞑想に満ちた敬虔な生活のことを言うのではありません。私たちの教会の礼拝の中心はミサあるいは聖餐式と言われる、聖なる食事、イエス・キリストのからだと血を「食する」行為なのです。 「食する」行為の中で、神さまの愛と恵みを実感し、そこに列する人々と共に生かされていることを確認します。「食する」行為は子どもも老人も、病気の人も障害のある人も、教育のある人も無い人も、――すべての人がいのちのある限り続ける行為でもあります。 「開く」「信じる」と同じくらい大切な行為が「食べる」ということでしょう。