18:28 2018/10/15 東京聖テモテ教会 - 主日の福音

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★太田信三 司祭による主日の福音

★主日の福音(2020年11月29日)
「過去と未来が照らす「今」」(マルコによる福音書13:24-37)
 アドベントクランツの始めのろうそくは、「希望」を表しているとされています。わたしたちは「希望」の明かりを灯すことから降臨節を始めます。その希望とは、かつてこの世に来られ、今もわたしたちに語り続けてくださっている主イエスが、再びわたしたちに姿を現し、福音を完全に実現してくださる日への希望です。過去の御降誕の時と、来たるべき時、この二つの時は不可分です。主イエスがこの世に来てくださった事実が、再臨の約束を確かなものにし、わたしたちの未来を照らしているからです。主イエスによってもたらされた福音が、今を生きるわたしたちの足元をも照らし、将来の救いへとわたしたちは歩むことができるのです。そうして、主イエスによって示された未来への希望によって「今」を生きるのがクリスチャンです。ですから、降臨節にあっての「備え」とは、約束されているその日を楽しみに待ち望みつつ、命のみ言葉から喜びと希望をいただいて「今」を生きることなのです。そしてそのように生きることこそ、今日の福音書で語られる「目を覚ましている」ということです。
 マルコによる福音書が記された紀元70年頃、既に主イエスは天に昇られています。ですから当時のクリスチャンたちは、わたしたちと同じように主イエスを直接目にすることはできませんでした。けれども今日の福音は、目には見えずとも、イエス・キリストはあなたがたの中心に今もおられ、弟子たちに語られたように、あなたがたにも語りかけておられる、と語ります。この箇所は当時のクリスチャンに大きな希望を与えたことでしょう。というのは、マルコ福音書が記された当時のクリスチャンは苦境に立たされていました。キリストを信じる者は会堂を追放されてしまったのです。これは当時では社会からの追放を意味しました。それだけでも非常に厳しいことです。さらに、信仰的、民族的よりどころであったエルサレム神殿がローマによって破壊されてしまいます。自分たちが頼りにしていたものが次々と失われてしまったのです。そのような危機のなかで、クリスチャンたちはさまよいます。ある者は偽メシアや偽預言者に惑わされ、ある者はこの苦しい現実はイエス・キリストがいよいよ再び来られる前兆だ、と過剰に騒ぎ出しました。拠り所を失ったクリスチャンたちは不安や恐れを埋めるため、藁をもすがる思いで様々なものに頼り始め、いつの間にか神から、イエス・キリストのみ言葉から離れていってしまったのです。そのような状況にあったクリスチャンたちに、今日の福音書は語りかけます。「目を覚ましていなさい。オリーブ山で弟子たちに語りかけたように、今も主イエスはあなたがたの中心におられ、あなたがたにみ言葉を語り続けている」と。そうして、危機に瀕していた共同体に対し、どのような現実の中であっても主イエスは共におられ、み言葉を語ってくださっていることを気づかせ、主イエスにある希望に立ち返らせようとしたのです。
 降臨節、日々の営みの中でかき消されてしまうみ言葉に再び立ち返り、イエス・キリストが私たちの中心に「今」おられることを再び感じましょう。そこで今も示されている希望に与ることからわたしたちは歩み始めるのです。その希望と喜びに「今」与ってこそ、わたしたちは過去の御降誕の出来事を心からお祝いし、主が再び来られる未来の時を、心から待ち望むことができます。降臨節、主イエスからの希望に照らされ、良き備えをなすことができますように。

★主日の福音(2020年12月6日)
 「福音の初め」(マルコによる福音書1:1-8)
 今日の福音は「神の子、イエス・キリストの福音の初め」とあるように、マルコによる福音書の始まりの箇所です。創世記と同じように、「初め」と語り出すことで、待望の福音が今、始まるという緊張感が漂います。
 荒れ野に洗礼者ヨハネが現れようとするその時、天上では神が主イエスに語りかけます。「見よ、わたしはあなたより先に使者を遣わし、あなたの道を準備させよう。」神は主イエスにこのように語りかけ、行動の時が来たことを告げています。こうして、「福音の初め」が神の主導によって開始されます。
 洗礼者ヨハネが「悔い改め」を求めたのは、神による救いの時が今まさに始まろうとしているからです。だからこそ、彼は「悔い改め」ではなく、悔い改めの「洗礼」を求めました。聖書において、「悔い改め」という語には「転回する・振り向く」という意味が込められています。つまり、「悔い改め」とは、神に背を向けた生き方から離れ、神の方へと方向を変えることなのです。けれども、この方向転換は人の努力だけで出来ることではありません。神の心、神の思いがわたしたちの心に染み込むとき、悔い改めは起こるのです。そのためには、わたしたちの心が、神の思いが染み込む状態になっていなければなりません。洗礼者ヨハネは、人々の心を悔い改めに備えさせるために、水で洗礼を施すのです。「ヨハネのもとに来て、罪を告白し、ヨルダン川で彼から洗礼を受けた」人々は、自ら悔い改めに務めることを誓い、水で洗われることで、来るべき方をお迎えする心を備えました。その心で、来たるべき方から霊による洗礼を授けられる時、まことの悔い改めは起こるのです。
 当時、神はイスラエルから遠ざかったと考えられていました。しかし、神は民を見捨てたのではありません。時の訪れを待っていたのです。イザヤ書42:14に以下のようにあります。
わたしは決して声を立てず、
黙して、自分を抑えてきた。
今、わたしは子を産む女のようにあえぎ
激しく息を吸い、また息を吐く。
今、神はいよいよ長い沈黙を破り、主イエスによって再びイスラエルに霊を降し、決定的な救いをもたらそうとしています。神が歴史に介入し、救いのために行動を起こされるのです。1章1節の「初め」とは、そのような喜びに満ちた緊張感を表しています。マルコ福音書が主イエスの洗礼に先立って洗礼者ヨハネの活動を伝えるのは、ヨハネ本人に興味があるからというよりもむしろ、ヨハネを通して働くこの神の姿を伝えるためなのです。
 今、わたしたちは神が遠く離れてしまったように感じていないでしょうか。もしそうであったとしても、神によって起こされた出来事、イエス・キリストの福音は消えてなくなることはありません。この福音は、今も聖霊を通してわたしたちの現実に起こっていることであり、わたしたち自身に働いている現実です。あらためて耳を澄ましましょう。福音が主イエスの足音と共に近づいてくるはずです。降臨節第二主日、父と子と聖霊の御名によって授けられた洗礼の恵みに立ち返り、福音に込められた神の思いをいただくために自らを省み、心を神に向けましょう。そして日々、主イエスを通して実現した福音を聴き、聖霊の働き、神の働きのうちに生かされてまいりましょう。

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